ラブレター・フロム・ブラッセルズ

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第二十四回 ドリーム・ライナー

祝直行便開設!

 ついに、全日空ブリュッセル・成田直行便就航です。去る10月25日(日)、同日、満席で成田を飛び立った第一便は、15:15の定刻を少し遅れて、ブリュッセル空港に到着しました。沢山のプレスが構えるカメラの放列の中、ゆっくりとゲートに向かう「ドリーム・ライナー」ボーイング787を迎えるのは、放水車による水のゲートです。

その後、第一便就航をお祝いするレセプションが、ブラッセル空港と全日空の主催で、ゲートインした直行便が目の前に見える空港内のスペースで開かれました。ベルギー政府からは、ペーテルス副首相とガラン交通大臣が出席されましたが、これは、ベルギー政府がこの直行便開設をいかに重視してきたかを明確に示すものです。実は、今年5月にミシェル首相は初めて訪日され、ペーテルス副首相も同行されましたが、その際、一行が日本到着後、最初に向かった先は、全日空本社でのミーティングでした。思えば、サベナ・ベルギー航空が倒産し、ベルギー・日本間の直行便が無くなったのが2001年秋ですから、直行便再開設は、両国政府にとって、ちょうど14年来の懸案だった訳です。

 なお、漏れ聞くところでは、国王陛下も、今回の直行便開設を非常に喜んでおられるようです。特に、1日1便というのは、陛下の予想を上回っていたようで、「嬉しい驚き」を示されていたそうです。

ドリーム・ライナー

この直行便が実現した理由は、ベルギー政府の熱意以外にも、いくつかあります。その一つが、ドリーム・ライナーと言われるボーイング787の登場です。最新鋭の航空工学や、軽量で強靭な素材の導入により、高い燃料効率を実現した結果、ブラッセル・成田直行仕様で200席を切る大きさの機材で、12~13時間の長距離運航が可能になったのです。「ブラッセルは欧州の中心であり、そこに日本からの直行便がないのはおかしい。」というのは簡単ですが、直行便は、「あるべき論」だけでは実現しません。ビジネスである以上、その実現のためには、しっかりとした市場調査と、採算が取れるという一定の見通しが不可欠なのは当然です。日本とベルギーの間の人の往来の動向を冷静に分析すれば、採算を取るためには、ドリーム・ライナーの規模の機材の登場が必須だったのです。

なお、ドリーム・ライナーの「夢(ドリーム)」の内容は、燃料効率だけではありません。高い燃料効率を実現する決め手となった日本発の炭素素材は、同時に、1万メートルを超える上空で、地上に近い環境を実現することにも成功しました。従来飛行機で旅行する際に感じていた肌の乾燥や、気圧の微妙な変化は、ドリーム・ライナーとは無縁だと聞きます。その結果、長距離旅行を楽しむ上で決め手となる深い「睡眠」が可能となった由です。

ボーイング787は、その名の通り、米国ボーイング社の機材ですが、その開発には、日本の高度技術の粋が集められており、いわば、日米共同プロジェクトのようなものです。軽量な炭素素材を開発することに加えて、それを強靭な成型物にすること、さらに、それを大規模な形で一体成型すること。この技術は、これまでもいろいろな分野で活用されてきましたが、その最新型がこのドリーム・ライナーなのです。

なお、日本では、同時に、純国産商用ジェット機であるMRJの登場に向けて、着々と準備が進んでいます。これが実現すれば、歴史的な出来事ですし、小中規模の機材の分野で、大きなビジネスチャンスが期待されます。

次は「結果」へ

話は変わりますが、直行便開始の少し前、佐藤委員長以下経団連欧州委員会のご一行が、ブラッセルを訪問されました。一行は、ペーテルス副首相を含む連邦政府関係者や、実際の投資や貿易関係を担う3つの地方政府のトップとも会談し、両国の経済分野での関係を一層強化するための具体的な方策につて、非常に実り多い意見交換をされたと思います。

その際、参加しておられた日本航空の方から、ベルギー側に提起があったのが、ベルギーから日本への旅行者の増加の重要性です。これは、直行便であると無いとにかかわらない、重要な問題提起です。
以前このコーナーでもご紹介しましたが、ベルギーから日本への旅行者は、2014年中に、約19,000人で、これは、絶対数では、欧州の第12位です。欧州諸国の中で最大は英国で、約22万人です。
提案ですが、友好150周年である来年に、これを50,000人に増加することを目指してはどうでしょうか?ベルギーの人口は英国の約1/5ですから、これが実現すれば、一人当たりの訪日数では、昨年の英国を上回ることになります。これを、直行便就航翌日に、旅行業界などの方々が集まられたお祝いの席でご披露したところ、多くの方々から、「頑張ろう!」との力強い言葉を頂きました。来年にベルギー、日本双方で予定される色々なイベントを考えれば、これは、決して夢物語ではないと思うのですが。皆さんのご協力を是非よろしくお願いします!

 

 

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