第四十六回 盛り沢山の一週間
2016年12月12日
前回、「フィナーレに向けて」という題で書きましたが、実は、色々なイベントは、まだまだ続いています。ここ1週間だけでも、次のようなイベントがありました。
We are YOSHIDA Brothers!
まず、12月6日には、津軽三味線の若手奏者として大人気の吉田兄弟が、フラジェで公演されました。実は、吉田兄弟は、元々今年春に、ベルギー・オランダ公演の一環でブリュッセルとリエージュにおいで頂く予定でしたが、3月のブリュッセル連続テロにより、訪問を断念された経緯があります。今回、非常に厳しい日程の中、強い意志をもって、ブリュッセル来訪を果たして頂いたことを非常に有り難く思います。
これも、日ベルギー友好150周年のお陰です。本年は、150周年という長い歴史の基礎の上に、日本とベルギーの間で色々な新しい分野での協力が強化され、新時代のスタートが切れたと思います。実は、吉田兄弟の津軽三味線演奏も、同じような気がします。三味線自体は、16世紀に中国から伝わった長い歴史を持つ楽器ですが、吉田兄弟は、「じょんがら」などの昔ながらの曲目をこなすと同時に、数多くのオリジナル曲を作って、津軽三味線音楽に新たな息吹を吹き込まれました。
フラジェで2回公演され、1回の公演で、ほとんどノンストップで1時間引き続けられました。その力強く、時に哀愁を帯びた演奏は、観客を魅了したと思います。私も、演奏を聴かせて頂くのは初めての機会でしたが、本当に感動しました。吉田ご兄弟、チーム吉田の皆様、どうも有り難うございました。
姉妹都市かくあるべし;デュルビュイ
12月8日には、ブリュッセルから車で1時間半程度南に行った小さな都市、デュルビュイで、日本年の閉会式に参加しました。デュルビュイは、1994年から埼玉県羽生市の姉妹都市で、その関係は20年を超えています。しかし、より重要なのは、この姉妹都市関係は、本当に活発なのです。
私は、今年3月に、日本年の開会式に呼ばれて参加しました。それから9ヶ月に渡って、色々な交流があったようです。11月には、デュルビュイの関係者が羽生市を訪れ、日本で色々なイベントが開催されました。その一つは、彫刻作りです。デュルビュイは、川が流れる山あいの美しい町ですが、彫刻に使うような石の産地としても知られています。実は、昨年には、彫刻国際コンペが開催されて、私も伺いましたが、そこには、日本から平井一嘉さんという彫刻家の方が参加されていました。今年、デュルビュイ関係者が羽生市を訪問された際にも、同行したベルギーの彫刻家ウィリアム・リブルモアさんと平井さんが、再びそれぞれの町のシンボルになるような彫刻を作られました。羽生市用には同市のゆるキャラの「むじなもん」、猪料理で有名なデュルビュイ市用には、猪の子供の彫刻が作られました。その名前は「ウリュビュイ」。日本語で猪の子供を言う「うりぼう」とデュルビュイの名前を掛けたものですが、とてもかわいらしい彫刻でした。
そして、今度は、羽生市の若い人達がデュルビュイを訪れる計画もあるそうです。この話を聞いて、私は、この姉妹都市関係は益々活発に続くと確信しました。なぜなら、姉妹都市関係が活発であるためには、誰か引っ張っていく人が指導層に必要ですが、同時に、次の世代の交流を勧めることが不可欠だからです。
ちなみに、デュルビュイは、小さいですが美しいクリスマスマーケットでも有名です。町の中にかかった古い石橋の下に広がる広場であるマーケットは、スケートリンク有り、食べ物屋台有り、クリスマスグッズ売り場ありと、とても楽しいところでした。そして、こちらで発明された人気のお摘まみ「フォアグラ・ポテト」を美味しく頂きました。ゆでたポテトを半分に切り、そこに豪快に切ったフォアグラのスライスを乗せ、岩塩をちょっと振って食べます。とても美味しそうだと思いませんか?
ネロとパトラッシュ新名所
最後に、12月10日には、今度は、ブリュッセルの北にあるアントワープ市で、「フランダースの犬」にちなんだ、新しい彫刻の除幕式に伺いました。
ネロとパトラッシュの話は、殆どの日本人の方はご存じだとも思いますが、ネロの生まれ育った町はアントワープから更に車で10分程度のところにあるホーボーケンというところで、ここには、既に銅像があります。ネロとパトラッシュが天国に旅立った場所であるアントワープの大聖堂には、これまで、小さな記念碑がありましたが、今回、新たに大きな大理石の像を作ることにしたのです。
ご存じのように、フランダースの犬のお話は、舞台とされているベルギーフランダース地方では、余り知られていません。しかし、今回の除幕式には、クリスマスマーケットの開会式に併せたということもあるでしょうが、多くの市民やプレスの人々が参加し、大変な賑わいでした。
実は、この新しい彫刻は素晴らしいのですが、これを見ただけでは、何の話なのか必ずしも分かりません。作成者の意図の一つは、この像を見て、関心を持ち、この話に興味を持つ人を増やすことだそうです。日本人、そして、ベルギー人の皆さん、アントワープに行かれる際は、是非この新しい名所を訪ねてみてください。一緒に写真も撮りやすい、素晴らしいものですよ。
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