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第四十七回 鬼が笑う?

2016年12月27日

御礼

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日ベルギー友好150周年であった2016年も終わろうとしています。まずは、この大事な年に、皆様から頂いたご厚情に、心から感謝します。スポンサーの方々のご支援や、沢山のボランティアの方々のご協力など、色々な形で皆様に助けて頂いたお蔭で、150周年は、日本とベルギーとの関係を更なる高みに押し上げた素晴らしい年になったと思います。皆様も、色々な行事を楽しんで頂ける機会があったとすれば、嬉しい限りです。ここに改めて、皆様のご協力に御礼致します。



今年はどんな年だった?

 今年は歴史上、「想定外」と「想定以上」の年として記憶されるのではないでしょうか。

 昨年6月の英国での国民投票で、EU離脱の結果が出たことは、正直、「想定外」でした。35年ほど前の駆け出しの時に英国で研修生活を送り、10数年前にも2年以上ロンドンで勤務して、英国の人々は最終的には「賢い」判断をすると信じ切っていましたが、その予想は見事に裏切られました。この想定外の結果は、これから数年間色々な分野で欧州の将来に深い影響を与えずにはおかないでしょう。  
昨年11月の米国大統領選挙の結果も「想定外」と言えるでしょう。2008年の大統領選挙の際にワシントンで勤務し、大統領選を観察する機会を得た身としては、「結果は最後まで分からない。」というのが明確な教訓でしたが、今回も、心のどこかで、「結局最後には・・・」という思いが無かったと言えば嘘になります。
 今後は、「これから何が起こるのか」の予想も重要ですが、それ以上に、「日本が米国新政権と何をやりたいのか。」を明確にし、それを、「そうすることが米国の利益なのだ。」と分かる形で新政権に説明していくことが何よりも重要なのではないかと思います。

 それでは、話を「想定以上」に移しましょう。  
手前味噌になりますが、何といっても、日ベルギー150周年記念のお祝いは、「想定以上」に素晴らしいものだったと思います。国会議長と4人の内2人の副首相に参加頂いた1月の開会式に始まり、主要な行事だけでも、2月は観光博、3月は東日本大震災5周年記念復興コンサート、4月~5月には国王王妃両陛下にもお出で頂いたゲントフロラリア、7月にはオメガングでの着物パレード、8月には素晴らしい日本のデザインで飾られたブリュッセル・フラワーカーペットと海上自衛隊練習艦隊のアントワープ寄港、9月にはフォルクロリシモと小便小僧への直垂贈呈と続きました。  
 この150周年のハイライトは、何といっても、10月に行われたフィリップ国王、マチルド王妃両陛下の国賓訪日だったと思います。6日間の訪日を通じて、両陛下は、天皇皇后両陛下の温かなおもてなしを心から楽しまれましたが、同時に、各地の訪問先で現地の方々の想定以上の熱烈な歓迎に、非常に喜んでおられました。同行した私も家内も、心に残る素晴らしい経験をさせて頂きました。

来年はどんな年?

それでは、来年はどんな年になるのでしょうか。私は、今年は、色々な意味で「欧州の年」になるのではないかと思っています。
 
まず、来年は欧州主要国では選挙の年です。3月のオランダ総選挙、5月はフランス大統領選挙、秋にはドイツの総選挙と続きます。これらの選挙の行方がどうなるかは、今後数年間の欧州のみならず世界の政治・経済の動向に大きな影響を与えずにはおきません。  
また、来年は、重要な首脳会議の多くが欧州で開催されます。春頃には新本部庁舎の落成に合わせたNATOサミットがブリュッセルで、5月にはイタリアのタオルミーナでG7サミットが、7月にはドイツのハンブルグでG20サミットが開催される予定です。そして、これらすべてが、トランプ米新大統領と欧州各国首脳が相対する機会になるのです。  
更に、予定通り3月末までに英国がEU脱退を正式通報することになれば、今年の末頃には、今後のブレクジットの方向性がある程度明らかになるでしょう。  このような全ての機会を通じて、欧州が全体として、団結して力強く、世界的な安定のために前向きな影響を与えるだけの能力がある主体として立ち上がってくることは、日本にとっても重要ですし、それを心から期待したいと思います。

次はオリンピックに向けて!

 最後に、日ベルギー関係に戻ります。  今年は日ベルギー友好150周年でしたが、来年は、また新たなスタートです。次のターゲットは、2020年の東京オリンピックではないでしょうか。オリンピックを巡っては、日本とベルギーの間には不思議な縁があります。東京が開催都市に選ばれたことを世界に発表したジャック・ロゲIOC委員長(当時)は、ベルギーの方です。東京オリンピックの丁度100年前の1920年にオリンピックを開催したのはアントワープですし、これは、日本が初めてメダルを獲得したオリンピックでもあります。国王王妃両陛下訪日の機会には、両国のオリンピック委員会の間で協力のための覚書も結ばれており、今後、両国間に色々な連携が出来てくることを期待したいと思います。
 ちなみに、最終的な数字は未確定ですが、今年日本を訪問したベルギーの方々の数は、最多だった昨年を更に上回り、3万人を優に超えるはずです。東京オリンピックに向けて、この数は「想定以上」に益々増えていくことと思います。  
 末尾になりますが、来年が皆様にとって、「想定以上」に素晴らしい出来事に彩られた年になるよう、心からお祈りしています。来年もどうぞ宜しくお願いします。

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