第五十回 お世話になりました
2017年3月21日
3月3日に発令を頂き、今月末には、ベルギーを離任することになりました。2014年9月に着任してから、約2年半の勤務でしたが、公私ともに、心から楽しみました。これも、皆様のご支援と友情のお陰だと思います。本当にお世話になり、どうも有り難うございました。
2年半を振り返ると、色々な思い出が詰まっています。着任から3ヶ月も経たない2014年12月には、ファビオラ王妃ご葬儀のために、急遽皇后陛下がご来訪になり、数日の準備期間でお迎えしたことを思い出します。それは、日本とベルギーの関係、特に皇室と王室との関係が、どれだけ特別で近しい関係であるかを、頭では無く感覚で理解する、良い機会でした。
何と言っても、日ベルギー友好150周年である昨年2016年は、記憶に残る年でした。 国会議長、外務大臣他にご出席頂いた1月の開会式に始まり、年間を通じ、色々なイベントを開催して、両国の友好を印象づけると共に、ベルギーの方々に、より一層日本のことを知る機会を作れたと思います。
これが可能になったのは、日本人、ベルギー人双方の多くの方々のご協力のお陰です。数多くのスポンサーの方々には、多大なご支援を頂きました。各方面からのボランティアの方々のご協力無しには、色々なイベントは実施できませんでした。この場を借りて、改めて心から御礼申し上げます。
中でも、最大のハイライトは、やはり、国王王妃両陛下の国賓訪日でした。大使としての任期中に任国の元首の方を国賓として日本にお迎えできる機会は、そんなにあるものではありません。初めての大使のポストで、その栄誉に浴したのは、非常に幸運だったと思います。 ともかく、国王王妃両陛下と天皇皇后両陛下がお会いになる場に居合わせるだけで、四陛下の間に存在する尊敬や、愛情や、友情の感情がひしひしと感じられ、本当に得がたい経験をさせて頂きました。
そのお祝いの年の3月22日朝に、ブリュッセル連続テロ事件が発生し、30人以上の方が尊い命を失われました。6000人を超える日本人の方がベルギーに在留されている中で、1名の死者も無かったことは、不幸中の幸いでしたが、この事件は、日本でのベルギーのイメージに影響を与えずにはおきませんでした。ただ、友情や団結が試されるのは、困難な時期においてこそです。事件から2ヶ月も経たない5月初旬には、安倍総理がブリュッセルを訪問され、空港から現場の一つであるマルベーク駅に直行して献花をされたのは、日本の団結の一番明確な証となりました。
団結と言えば、東日本大震災からの復興のために、2011年のその年からブリュッセルで行われている「復興コンサート」のことも忘れるわけにはいきません。昨年の5周年では、堀米ゆず子さんのお声がけの元、世界的に有名なミュージシャンが、日程を何とかやりくりして、その日のためだけに駆けつけてくれました。そして、このコンサートは、これからも、日本とベルギーの友情の証として、続けられる予定です。
私の次のポストは、インドネシアです。今度は、雨が多いと言うことではベルギーと同じですが、年間を通じて25度前後という、非常に暖かな国で仕事をすることになります。首都ジャカルタは、大きな発展を見せて、高層ビルが建ち並んでいますが、未だ、広大な国土の中には、美しい自然が残る素晴らしい国です。皆さん、機会があれば、是非遊びにおいで下さい。もちろん、まず、直行便で東京にお出でになってからで結構ですので。
改め、本当に有り難うございました。素晴らしい未来が皆様に訪れるよう、地球のどこにいても、お祈りしています。
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