ベルギーの街角から:日本大使からの一言

平成30年7月30日

<< 前へ 記事一覧へ 次へ >>

第8回 ベルギーのサッカーチームおめでとう!

 2018年のロシアでのワールドカップ・サッカー選手権で、ベルギー・チームは、見事に第3位を獲得しました。この機会に、ベルギーの全ての方々に対して、今回の素晴らしい結果に、心からおめでとうとお伝えしたいと思います。


 これまでのワールドカップで最高の成績であった4位を更に上回る成果に、ベルギー中が熱狂したことは言うまでもありません。
 ベルギー・チームの試合がある時間帯は、いつもは渋滞で有名なブリュッセル中心部の道路もガラガラでした。フィリップ国王陛下も応援のためにロシアに足を運ばれていました。得点の原動力となったエデン・アザール選手やルカク選手、全体の要となったデ・ブルイネ選手、守護神クルトワ選手などは、いずれも国民的な人気を博しています。ロシアから帰国した選手とベルギー・サッカー協会の関係者は、ブリュッセルのグランプラスを埋め尽くす観衆から大歓声で迎えられました。


 もっとも、日本人としては、7月2日に行われた決勝トーナメント第1回戦での日本チーム対ベルギー・チームの対戦が、どうしても脳裏から離れないのも事実です。
 実際、後半の途中までは、完全に日本チームのペースで進んでいた試合でした。これはもう日本チームが勝つに違いないと思えて途中まで悲しかった、という話をしてくれるベルギー人も少なくありません。内容としては、本当に、2対3というスコア以上の試合だったと思います。
 日本チームにとっては、優位を保ちきれずに後半戦の終盤で追いつかれ、最後の最後で決勝点を与えてしまうという、本当に残念な試合展開でした。しかしながら、最後まで決して諦めず勝ちに執着するという強い姿勢と、類い稀な個々のプレイヤーの高い技量では、ベルギー・チームは本当に素晴らしものでした。日本チームとしても見習わねばならないと思います。


 ワールドカップに備えた国際親善試合として、日本チームがベルギー・チームと対戦したのは、昨年11月のブリュージュのスタジアムにおいてでした。もちろん、ワールドカップ本番の試合と国際親善試合とでは、緊張感や選手の気迫は同じではありませんが、この時も日本チームはなかなか良い試合をしました。結果は、ルカク選手による長身を生かしたヘッディング・シュートを防ぎ切れなかったため、0対1でベルギー・チームに敗れましたが、日本チームも特にディフェンス陣が活躍して、見ごたえのある試合だったと記憶しています。


 この親善試合でベルギー・サッカー協会の皆さんにお世話になったので、年末年始を挟んだ後の今年の2月に、関係者の皆さんを夕食会にお招きし、和食と日本酒を楽しんでいただきました。リナール会長以下のベルギー・サッカー協会の幹部の皆さんやマルティネス監督などと、くつろいでお話しさせていただいた記憶が、昨日のことのように蘇ります。
 私からは、ワールドカップ優勝候補の呼び声の高いベルギー・チームが上位に進出するのを当然のこととしてお話を伺ったのですが、リナール会長は、ワールドカップには容易な試合などありはしない、結局、一つ一つの試合に全力をかけて、その結果の積み重ねが最終的な成果になるという、慎重な発言をしておられました。マルティネス監督からは、日本チームは良いチームで、ディフェンスの水準が特に高いという評価をお聞きしました。
 その時点では既に予選リーグの構成が分かっていたので、グループGに属するベルギーとグループHに属する日本とが共に決勝トーナメントに進出し、対戦する機会があるといいねとお互いにエールを交換して、お別れしました。
 結局その通りの展開になりました。今から振り返ると、大変感慨深いものがあります。


<< 前へ 記事一覧へ 次へ >>