ラブレター・フロム・ブラッセルズ

トップ > ラブレター・フロム・ブラッセルズ

<< 前へ 記事一覧へ 次へ >>

第十一回 「続々おもてなし」;「日本酒」の世界(その2)

2015年3月9日

lfb_011_sake    前回に続いて、日本酒シリーズ。今回は、日本酒の種類や味わいについてご説明します。

    一言で種類と言っても、色々あります。
    日本酒は、まず、材料と作り方によっていくつかの種類に分かれます。
    「材料」について言えば、米と米麹だけで作る「純米酒」と、醸造アルコールを加えたその他のものの2種類に分かれます。
    「作り方」について言えば、良い香りを出すために酒米を削るのですが、その削り具合によって、50%以下まで削る大吟醸酒、60%以下まで削る吟醸酒、それ以外の3種類に分かれます。
    この2種類X3種類で、お酒は、概ね、純米大吟醸酒、純米吟醸酒、純米酒、大吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒の6種類に分かれます。
    それでは、この6種類の間で、味はどう違うのでしょうか。一般に、吟醸酒は端麗ですっきりした味、純米酒は芳醇でコクがあり熱燗も大丈夫、本醸造酒は香りが高くすっきりしている、などと言われますが、誤解を恐れず個人的印象を言えば、蔵元によっても、酒米によっても、味は色々で、一概に種類だけで味を決めつけるのは無理があると思います。
    ただ、この種類と、飲み方には、ある程度の関係があると思います。日本酒には、飲み方として、冷却、常温、燗(温度は熱燗から温燗まで色々です)の3つがありますが、やはり、吟醸香のある吟醸酒を熱燗にする、というのは余り無いような気がしますし、燗や常温には、純米酒が合うことが多いように思われます。最近、この辺のところは、それぞれのお酒に「飲み方」として記述してありますので、それを参考にして下さい。

    以上の区分とは別に、最近出るようになった、季節限定の名前で呼ばれるお酒についても、少し申し上げましょう。
    日本酒は、今や1年のどの時期でも造れますが、本来は、寒い時期に仕込むもの。最近では、10月最初から仕込み始め、早ければ、1ヶ月で出荷されますが、やはり、12月以降新年に入ってからの新酒はすばらしい。最近では、「新酒しぼりたて」と銘打って売り出されるものも多いです。フレッシュで、時には少しぴりぴりした味のお酒です。中でも、新酒を絞って最初に出てくるものを「あらばしり」と呼びます。これは、昔は蔵元まで出向かなければ飲めなかったのですが、最近は、酒屋で手に入ります。
    暑い夏は「生酒」。作り方として、一切火を入れないものを生酒と呼び、フレッシュで、フルーティな味わいが楽しめます。
    そして、秋は「冷やおろし」。春先に一回火入れをして作ったお酒を、夏の間タンクで寝かせ、熟成したところを、もう一度火入れはしないで、秋に飲むのです。熟成によってうま味が増し、香りの強い秋の料理に良く合います。

    次に、味の違いを示す3つの指標について。これは、通常お酒のラベルに書いてあります。これを知っておけば、ラベルを見るだけで、大体の味が想像出来ます。色々飲んで見て、自分の好きな味に合った指標を知ると、日本酒も選びやすくなるでしょう。ただ、本当は、指標によって先入観を持つよりは、色々なものを試す方が楽しいと思います。
    まず、「日本酒度」です。これは、プラスからマイナスまでありますが、一般的には、数字がプラスになるほど、糖分が少なく辛口と感じるものに、逆に数字がマイナスになるほど、糖分が多く甘口と感じるものになります。
    次いで、「酸度」です。これは、日本酒に含まれる色々な酸の量を示すものです。これも一般的に言うと、酸度が高いほど、味は芳醇に、低いほど、味は淡泊になります。そして、「日本酒度」が同じであれば、酸度が高いほど辛口に、低いほど甘口になるのです。酸度は、大まかに言って、0.5~2.5程度の間で、1.5程度がちょうど中間と言えると思います。
    最後に、「酸度」とは別に「アミノ酸度」が書かれる場合があります。アミノ酸度が高いほど、味はコクがあり芳醇に、低いほど、あっさりと淡泊な味になります。
    これらの組み合わせで、日本酒の味は、大まかに言えば、濃厚辛口、濃厚甘口、端麗辛口、端麗甘口の4つのグループに分かれます。ただ、繰り返しですが、個人差もありますし、その日の体調や気候によっても味は変わります。ともかく、色々試して、自分の好きな銘柄を複数持つことをお勧めします。

    最後に、「酒サムライ」について。今や、日本酒は世界で楽しまれていますが、これは、日本酒の種類や楽しみ方について、外国語で説明出来る人たちの、これまでの努力のたまものと言っても過言では無いと思います。このような人たちのグループの一つとして、「酒サムライ」があります。この組織は、公式のホームページを持ち、自らコンクールをやり、外国に日本酒を発信しておられます。私の公邸でお出しする日本酒も、このコンクールで賞を取ったものです。もう少し日本酒について勉強したい方は、酒サムライのホームページを是非覗いてみてください。
HPアドレス; http://www.sakesamurai.jp です。

    本当に最後に、、個人的な宣伝を。私が生まれたのは、広島県東広島市というところです。広島市から電車で30分のところにあるこの町は、昔から酒所として知られています。町の中には、昔ながらの蔵元の建物が残り、蔵元巡りのツアーが行われています。現在、9つの蔵元があり、その内の一つは、昨年オバマ大統領が訪日した際に、寿司屋で飲んだ日本酒で知られますが、それ以外にも、私の大好きなこだわりの純米酒を造る蔵元など、多くの個性的な蔵元があります。毎年、10月前半の週末には「酒祭り」が行われ、蔵元見学や、西条だけでなく1000種類を超える全国の銘酒を飲み比べできるコーナーが開設され、全国から多くの日本酒ファンが訪れます。今年は10月11日と12日の開催ですので、お楽しみに。西条の蔵元は、外国への売り込みにも力を入れています。HPは、英語、フランス語、ドイツ語で見られますので、是非一度試してみてください。 英語のHPアドレス; http://saijosake.com/index.html

<< 前へ 記事一覧へ 次へ >>