第三十六回 二つの「フラワーカーペット」
2016年5月27日
ブリュッセル・フラワーカーペット
 The 2016 Brussels Flower Carpet by Nomura designer Fujie Suzuki @photo ASBL TAPIS DE FLEURS DE BRUXELLES - Gaston Batistini - Labo River - Marc second
以前から、このコーナーでは「公知の秘密」でしたが、遂に、今年のブリュッセル・フラワーカーペットのデザインが,公式に発表になりました。5月10日、ブリュッセル市庁舎において行われた記者会見には、マイユー・ブリュッセル市長も出席され、冒頭、自ら、デザインを発表されました。その後、私も、先日の安倍総理のベルギーご訪問にも触れながら、日本とベルギーとの関係は、これまで、「友好・信頼・連帯」をキーワードとしたものであり、それは、これからも変わらない、ということを申し上げました。
ブリュッセル・フラワーカーペットは、2年に一度、世界で一番美しいと言われるブリュッセルのグラン・プラス全体をキャンバスに見立てて、花で大きな絵を描くイベントです。第20回目となる今年は、日本・ベルギー友好150周年記念の祝賀の一環として、日本が「招待国」になり、カーペットは、日本をモチーフにしたものになりました。それをデザインして頂いたのは、日本有数のディスプレー・デザイン会社である乃村工藝社で働いておられる鈴木不二絵さんです。当初、デザイン案につき事務局案が提示されましたが、その案では日本らしさを表すものとして不十分と考えられました。ブリュッセル市の審議会まで3週間しかなく、代替案を提示してほしいと言われたので、その能力を持ちあわせていると思われた幾つかの会社に急遽コンタクトし、乃村工藝社に応じていただけることになりました。
ご覧頂ければお分かりのように、このデザインは、「花鳥風月」をモチーフとしたものです。中心に、さりげなく日の丸に模した「月」を配し、「鳥」は「鶴」、「花」は「松竹梅」(梅は、代わりに桜ですが。)、そして、「風」を表す「波」を入れるという、素晴らしいものになっています。
今年のフラワーカーペットは、8月12日~15日に行われます。これを目指してグラン・プラスを訪れる観光客の方々は毎回多数にのぼりますが、今年は、特に日本から、多くの方々がブリュッセルを訪問されることを期待したいと思います。
ブリュッセル・フラワーカーペットin東京?
私は、職掌柄、ベルギーでの150周年祝賀イベントに関わっていますが、当然ながら、今年のお祝いは、ベルギーでのみ行われているわけではありません。日本でも、スリーヴァーゲン大使以下、在日本ベルギー大使館の皆さんを中心に、色々なイベントが開催されてきています。
その一つが、当地でのブリュッセル・フラワーカーペットのデザイン発表と大体時を同じくして、5月16日~20日に東京で開催された、東京―ブリュッセル・ディズです。これは、毎年ブリュッセル首都圏地域が、同地域のプロモーションのために海外で行っているイベントで、今回が11回目に当たります。最近は、2013年にワシントン、14年に北京、15年にはミラノで実施されました。今回東京で行うのは、日・ベルギー友好150周年を是非お祝いしたいという、ブリュッセル首都圏地域の強い希望に基づいています。そして、同時に、これは、ブリュッセルが,テロ攻撃から立ち直り、元気を取り戻している、ということを海外に示したい、という意欲の表れでもあるのです。
このイベントのために、ブリュッセルから、首都圏地域政府の首相であるヴェルヴォールトさんや、同政府の対外貿易担当大臣でいらっしゃるジョドーニュさんなどが日本をお訪問されました。そして、そこでは、記念の式典ばかりで無く、何と、東京の地で、「ブリュッセル・フラワーカーペットin東京」が行われたのです。写真を見てお分かりのように、もちろん、規模はグラン・プラスより少し小さいとは言え、なかなか美しいデザインですね。日本の皆さんに、こちらでのフラワーカーペット本番に関心を持って頂くためにも、非常に良いイベントであったと思います。ちなみに、この期間、スカイ・ツリーは、ベルギー国旗の三色にライトアップされたようです。
私にとっては、この「二つのフラワーカーペット」は、二国間の交流は、やはり、「相思相愛」で「両方向」でなければ長続きしないのだ、という当たり前のことを,再認識する良い機会になりました。皆さんも、是非この両方向の交流の一翼を担っていたければと思います。面倒なことはさておき、ともかく、ブリュッセル・フラワーカーペットに是非おいで下さい。必ず,色々楽しい経験が待っていると思います。
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