第四十八回 仕事始め
2017年1月16日
仕事始め
新年、明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いします。
昨年末は、少し早めに休暇を頂き、日本で過ごしましたが、新年早々、1月1日にベルギーに帰任し、1月4日には、ブリュッセルにお出でになった稲田防衛大臣をお出迎えしました。稲田大臣は、1月4日夕刻にブリュッセルにお出でになり、5日朝、NATO本部でストルテンベルグ事務総長と会談、その後、関係者から各種ブリーフィングを受けられた後、午後には、次の訪問先であるパリに向けて出発されました。
10年ぶり!
と言うことで、24時間弱のブリュッセルご訪問でしたが、実は、日本の防衛大臣がNATOを訪問されたのは、10年前の久間防衛大臣が初めてで、今回が二回目になる、重要な訪問でした。
10年前と言えば、当時の安倍総理が、日本の総理として初めて北大西洋理事会(NAC)でスピーチをされたのが、2007年1月でした。その後、2014年5月には、安倍総理は、再度NACでスピーチをされましたが、その中で、当時のラスムセンNATO事務総長の言葉を借りながら、日本とNATOとの関係を「信頼できる必然のパートナー」と呼ばれました。
10年前から見ると、日本とNATOとの関係は、格段に近く、深くなっていると思います。それは、地域情勢に関する定期的な情報交換や、アデン湾沖の海賊対処に関連した2度の共同訓練に代表されるような各種共同訓練・演習の実施などに留まりません。
このホームページでも紹介しているように、今や、大使館の一員でもある女性自衛官がNATO本部内で「女性・平和・安全保障(WPS)」の分野で仕事をしています。今回、稲田大臣は、この自衛官の派遣を継続することを表明されました。この夏からは、後任の女性自衛官が、同じポストで仕事を始めることになります。
 更に、今回、稲田大臣は、海洋安全保障、サイバー、人道支援・災害救難、女性・平和・安全保障を初めとする様々な分野の協力を継続・強化する意味も込めて、新たに、モンスにあるNATOの欧州連合軍最高司令部(SHAPE)に、自衛官の連絡官を配置することを表明されました。
これらの措置は、日本とNATOとの関係を更に深化させるもので、ストルテンベルグ事務局長は、歓迎し、高く評価しておられました。
良いスタート
ということで、年初から、日本とNATOの関係については、良いスタートが切れたと思います。更に、今後を見据えると、今年はNATOとの関係では色々なことがある年になりそうです。春頃には、NATOの新本部が遂に完成し、そのお披露目も兼ねて、ブリュッセルでNATO首脳会合が行われる予定ですが、これは、場合によっては、トランプ米国新大統領が欧州を訪れる最初の機会になるかもしれません。
日本との関係では、昨年延期された日EU年次首脳会合が、今年のいずれかのタイミングでブリュッセルで行われることが予想されますが、その際には、再度総理のNATO訪問が行われれば有意義なことだと思います。そして、我が国は、ストルテンベルグNATO事務総長を、可能な限り今年の内に日本にお迎えしたいと考えています。
世界的に安全保障環境が厳しさを増す中、このような機会を通じて、日本とNATOの関係を、具体的に一層強化していくことは、非常に重要だと思っています。今年を通じての課題の一つとして、頑張っていきたいと思います。
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