WCO(世界税関機構)を経由した途上国税関の能力向上支援
日本政府は、令和元年度補正予算により、WCOに対し、東南アジア及びその周辺諸国におけるプラスチック廃棄物対策支援、並びに、北アフリカ地域及びその周辺諸国税関の安全対策支援として、合計約80万ドルを拠出することを決定しました。
プラスチック廃棄物対策支援は、昨年のG20大阪サミットにて共有された「大阪ブルーオーシャンビジョン」を実現するために途上国の能力構築支援等を行う「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」に基づくものであり、具体的には、東南アジア及びその周辺諸国において、プラスチックごみをはじめとする廃棄物の国境を越える不正な輸送に対する対象国税関の知識と対応能力の向上を図るため、ガイダンス策定支援や研修会合を実施します。
税関の安全対策支援は、テロの脅威が継続し、テロとの戦いにおいてセキュリティの観点での税関の対応がますます求められている北アフリカ地域や及びその周辺の西・中央アフリカ地域諸国において、税関の安全対策の促進を図るもので、具体的には、管理体制が脆弱な国境における税関の対応のベストプラクティスを共有する安全対策ハンドブックの策定等を実施します。
2月19日、下川眞樹太駐ベルギー日本大使及び御厨邦雄WCO事務総局長が出席し、上記拠出の実施に関する口上書の交換式が行われました。席上、御厨事務総局長は、「プラスチックゴミの問題は新たな世界的課題であり、WCOと国際的な税関コミュニティはそれらの環境への悪影響をなくしていくための協力に重要な役割を果たせるものと考える。また、WCOのセキュリティ関連の取組への日本の継続的な支援は、世界の税関当局のセキュリティ分野への対応能力向上に貢献してきている。」旨述べ 、日本政府の支援に対して感謝の意を表しました。
これに対し、下川大使は、「御厨事務総局長のリーダーシップの下、WCOが安全対策をはじめとした、税関が直面する課題に取り組んで成果が出ていること、さらに、昨年日本で行われたG20でも取り上げられた海洋プラスチックごみ対策のような新たな課題にも積極的に取り組んでいることを高く評価している。両プロジェクトが引き続き、我が国とWCOとの協力のみならず、対象地域との協力関係を強化することを期待している」旨を述べました。